2010年 11月 04日
「夏の逆転結露を解く(亜熱帯化する日本)⑤」
さて、いよいよ夏です。
その逆転結露の現象と思われる事を解いていきます。
夏のエアコンの設定をどのようにするかは各御家庭によってマチマチです。
実際K様のお住まいもお伺いした時にはちょっと寒いと感じる位に
エアコンを稼働されていました。
防湿フィルムを<有り>で
外気温 35℃ 湿度70%
室温 27℃ 湿度70%
の条件で計算してみます。
夏の逆転結露は室内側の仕上げ下地材の外側【A点】(下図参照)が
一番結露を引き起こすであろうと考えられる部分です。
冬で計算したように夏に場合でもまずは針葉樹合板の断熱材側
【A点】の温度を求めてみます。
ここでも温度差は各材料の熱抵抗に比例するということから
この【A点】での温度は27.43℃ということが分かります。
27.43℃の時の飽和容積絶対湿度は 26.31g/m3
この 26.31g/m3 を実在容積絶対湿度が超えると逆転結露が起こる可能性が高くなり
この状態が続くと結露水が表面にまで滲み出てきてしまうことになる訳です。
【A点】の実在容積絶対湿度を求めます。
外気温 35℃ 湿度70% 飽和容積絶対湿度 25.74g/m3 絶対湿度 18.018g/m3
室温 27℃ 湿度70% 飽和容積絶対湿度 39.54g/m3 絶対湿度 27.678g/m3
絶対湿度差は9.66g/m3となる。
針葉樹合板の室外側【A点】までの絶対湿度差を計算すると0.584g/m3。
針葉樹合板の室外側の部分【A点】での絶対湿度は
27.678g/m3ー0.584g/m3=27.094g/m3
【A点】での飽和容積絶対湿度27.678g/m3 < 【A点】での実在容積絶対湿度27.094g/m3
飽和容積絶対湿度よりも実在容積絶対湿度が上回ってしまう。
これは【A点】では水蒸気が水滴になり、いわゆる結露現象となってしまう。
いろいろと条件を入れ直し結果を診てみたが、
この現象を改善することは至難の業であることが判明した。
それでは次回は防湿フィルム層を無くしてしまえば夏の逆転結露は起こらないだろうが
冬の結露は発生するのかどうかを解いていきます。
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by nt-nosaka
| 2010-11-04 12:06
| 家づくり